私の歌謡“変”歴(昭和16年〜17年篇) 今まで聴いた歌から・・・・・
この頃の出来事
昭和16年 1月 8日 | 東條陸相、「戦陣訓」を示達 |
昭和16年 4月 1日 | 小学校を「国民学校」と改称 |
昭和16年 4月13日 | 日ソ中立条約調印 |
昭和16年10月15日 | 国際スパイ容疑で尾崎秀実を検挙。18日リヒャルト・ゾルゲを検挙(ゾルゲ事件) |
昭和16年12月 8日 | 米真珠湾攻撃で対米英宣戦布告 |
昭和16年12月 8日 | ラジオ・新聞の天気予報・気象通報中止 |
昭和17年 2月 1日 | 衣料の点数切符制度実施。一人一年で都市部100点郡部80点だった。 |
昭和17年 5月 9日 | 金属回収令により寺院の梵鐘・仏具など強制供出命令 |
昭和17年 6月 8日 | 逓信省、割増金付切手債権(弾丸切手)発売。額面1円で1等が1000円。 |
昭和17年 6月 5日 | ミッドウェー海戦。戦局の転機に |
昭和17年11月 2日 | 詩人・北原白秋没。12月4日には作家の中島敦没。 |
登録No | 曲名 | 発売年 | 歌手名 | 作詞 | 作曲 | 歌い出し | レコード会社 | コメント |
04259 | 回覧板 | 16 | 菊池章子 中村メイ子 |
横山隆一 | 服部良一 | 来たよ来た来た回覧板 | コロムビア | メイ子は当時6才。周りに負けず歌っているところが可愛いです。 |
04151 | 成吉思汗 | 16 | 小畑実 吉沢美穂子 |
秩父重剛 | 江口夜詩 | 父の血潮は砂漠を越えて | ポリドール | 小畑・吉沢ふたりのデビュー曲。恩師の江口夜詩作曲。ジンギスカンの哀しみを歌う。 |
07512 | シャボン玉の幻想 | 16 | 二葉あき子 | 佐藤惣之助 | 平川英夫 | 寂しい時はシャボン玉を吹こうよ | コロムビア | 伴奏のピアノがシャボン玉をイメージ。とても洒落た曲です。 |
04262 | めんこい仔馬 | 16 | 二葉あき子 高橋祐子 |
サトウハチロー | 仁木他喜雄 | 濡れた仔馬のたて髪を | コロムビア | 東宝の国策映画「馬」より。裏表とも映画には使用されず。仁木他喜雄作曲 |
03058 | 馬 | 16 | 伊藤久男 菊池章子 |
佐藤惣之助 | 古賀政男 | 山は朝焼け青い空 | コロムビア | 「めんこい・・」のB面。愛馬を戦場に送る心情を歌う。古賀政男作曲。 |
02815 | あゝ草枕幾度ぞ | 16 | 東海林太郎 | 徳土良介 | 陸奥明 | あゝ草枕幾度ぞ | テイチク | 悪条件の中突き進む部隊の様子を熱く歌います。 |
07528 | 振袖人形 | 16 | 二葉あき子 | 野村俊夫 | 明本京静 | 花にねたまれ夜風にせかれ | コロムビア | この作詞・作曲の組み合わせは戦時歌謡色の濃いイメージがありますが、艶っぽい詞曲です。 |
00142 | 『戦陣訓』の歌 | 16 | 徳山l | 梅木三郎 | 須磨洋朔 | 日本男子と生まれ来て | ビクター | 『戦陣の心得』の歌。武人の心をかみしめるように歌った徳山l晩期の作品。 |
04271 | 『戦陣訓』の歌 | 16 | 伊藤武雄 伊藤久男 |
佐藤惣之助 | 古関裕而 | 夫れ戦陣のつわものは | コロムビア | こちらも競作となったひとつ。こちらの方が一般大衆向き、か |
04153 | 蘭の花咲く満州で | 16 | 田端義夫 | 藤村閑夫 | 長津義司 | 生まれ故郷をあとにして | ポリドール | 蘭は満州国の国花。「金もなければ地位もない・・」がバタやんのハングリーな経歴にダブってヒット。 |
04270 | 国民恤兵歌 | 16 | 伊藤久男 霧島昇 |
佐藤惣之助 | 古関裕而 | 雨の降る夜も泥濘も | コロムビア | 『恤兵』(じゅっぺい)も既に死語になってしまいました。 |
04093 | 新家庭行進曲 | 16 | 岡晴夫 | 清水操六 | 島田逸平 | 裏の家でもお隣さんも | キング | 「生めよ増やせよ」と当時の国策歌謡。作詞はサトウハチローの変名。 |
02264 | 妹よ | 16 | 松平晃 | 植村謙一 | 松平晃 | 妹よ便りを嬉しく思い候 | タイヘイ | 候文による歌はこれが初めてかも。平井英子の「黒髪そえて」のアンサーのような感じ。 |
00144 | 歩くうた | 16 | 徳山l | 高村光太郎 | 飯田信夫 | 歩け歩け歩け歩け | ビクター | 高村光太郎作詞。唯ひたすら歩く様子を重く歌っています。 |
07529 | 明日の運命 | 16 | 霧島昇 渡辺はま子 |
西条八十 | 服部良一 | 夕焼雲のかげ映す | コロムビア | さながら映画の1シーンのような(映画「上海の月」の挿入歌でしたが)西条八十の詞が秀逸。 |
00377 | 牡丹の曲 | 16 | 山田五十鈴 | 西条八十 | 服部良一 | 紅い牡丹の花びら染めた | コロムビア | コチラは「上海の月」の主題歌。主演の山田五十鈴が歌う。 |
00376 | 崑崙こえて | 16 | 藤山一郎 | 大木惇夫 | 古賀政男 | 雲は行く行くはるかに崑崙こえて | コロムビア | 藤山会心の歌唱。大木惇夫の詞はハメコミだがそれを感じさせない出来。古賀政男作曲。 |
04275 | 黒き宝 | 16 | 李香蘭 | 西条八十 | 古賀政男 | 深山桜の花かげに | コロムビア | 「黒き宝」とは石炭のこと。これは鉱山で働く人たちへの励ましの歌。 |
02817 | 琵琶湖哀歌 | 16 | 東海林太郎 小笠原美都子 |
奥野椰子夫 | 菊地博 | 遠くかすむは彦根城波に消えゆく竹生島 | テイチク | 琵琶湖の名勝地を讃えた美しいワルツだがもともとは水難事故の鎮魂歌だった。 |
04276 | 元気で行こうよ | 16 | 霧島昇 | 西条八十 | 古関裕而 | 肩を組み組み口笛吹けば | コロムビア | どんな苦難も明るく若いチカラで乗り切る、そんな躍動感があります。 |
03366 | そうだその意気 | 16 | 霧島昇 ミスコロムビア 李香蘭 |
西条八十 | 古賀政男 | なんにも言えず靖国の | コロムビア | サブタイトル「国民総意の歌」。「海の進軍」の片面。 |
00178 | 夜霧の馬車 | 16 | 李香蘭 | 西条八十 | 古賀政男 | 行け嘆きの馬車 | コロムビア | 八十・古賀コンビが贈る秀作。李香蘭も感情を込めて「惜別」の歌を。 |
07202 | 戦闘帽に花さして | 16 | 徳山l | 佐伯孝夫 | 飯田信夫 | 泥にまみれた戦闘帽に | ビクター | いわば“花と兵隊”。この後徳山は急逝して惜しまれる。 |
00378 | 歌えば天国 | 16 | 藤山一郎 二葉あき子 古川ロッパ |
西条八十 | 古賀政男 | 鳥は雨降る日もたのし歌で暮らす | コロムビア | 藤山/二葉コンビの中でも最も洒落たナンバー。さらにロッパが加わり陽気に。 |
01374 | パラオ恋しや | 16 | 岡晴夫 | キング | ||||
04278 | 海の進軍 | 16 | 伊藤久男 藤山一郎 二葉あき子 |
海老沼正男 | 古関裕而 | あの日揚がったZ旗を | コロムビア | 歌詞は一般公募。三人の溌剌とした歌唱が一層古関“マーチ”を盛り上げている。 |
01300 | 世紀の若人 | 16 | 長門美保 | 福田伝吉 | 林伊佐緒 | くれない燃え立ついのちのあけぼの | キング | “新体制”の名の下に何でも統合されていた時代。「朝」は来ずひたすら「闇」へ・・・ |
05938 | 花の広東航路 | 16 | 岡晴夫 | 佐藤惣之助 | 上原げんと | 南国の青い空赤い夕陽の珠江の流れ | キング | 戦時色があまりないため戦後も良く歌われていました。 |
02821 | 十三夜 | 16 | 小笠原美都子 | 石松秋二 | 長津義司 | 河岸の柳のゆきずりに | テイチク | このようなシチュエイションもすでに過去のモノとなってしまった感があります。だからこそ余計愛おしく感じるのかも・・・ |
00380 | 月下の胡弓 | 16 | 李香蘭 | 野村俊夫 | 加賀谷伸 | 船はゆくゆく灯ゆれる | コロムビア | |
02819 | 軍国舞扇 | 16 | 東海林太郎 | 藤田まさと | 陸奥明 | テイチク | 京ことばの台詞がいい味だしてます。 | |
00381 | ハルピンの夜は更けて | 16 | 伊藤久男 | サトウハチロー | 加賀谷伸 | 寝たか妹よ父母よ | コロムビア | コンチネンタルな味付け。伊藤の哀愁感ある歌唱も効果的。 |
02269 | 大陸夫婦行進 | 16 | 松平晃 三原純子 |
大久保ひろし | 細田義勝 | 蛍の光窓の雪歌で送られ級友と | タイヘイ | 「大陸の花嫁」がテーマの国策ソング。松平・三原の珍しい顔合わせに“忘れちゃいやよ”の細田が作曲。 |
02820 | 伊那のふるさと | 16 | 小笠原美都子 | 飛鳥井芳郎 | 八洲秀章 | 青葉やさしいあの夢恋し | テイチク | 八洲秀章がテイチクに残した佳曲。琴の音をフィーチャーしたアレンジも、よい。 |
04097 | グライダー部隊 | 16 | 岡晴夫 横山郁子 |
江崎小秋 | 細川潤一 | 大和島根に生まれたら | キング | パイロット養成が急務となった頃、いわゆる予備軍の若者を歌う。 |
00385 | 南の星 | 16 | 霧島昇 | 西条八十 | 服部良一 | 赤いジャスミン花咲く島で | コロムビア | 服部良一作曲。「サヨンの鐘」のB面で台湾が舞台(サヨンとは関係なし)。抒情ムード満点の佳曲。 |
00384 | サヨンの鐘 | 16 | 渡辺はま子 | 西条八十 | 古賀政男 | 嵐吹きまく峯ふもと | コロムビア | 急流に命を散らしたサヨンへの鎮魂歌。鐘の音がメロディーと共に心に沁みます。古賀政男作曲です。 |
04282 | 曙に立つ | 16 | コロムビア合唱団 | 大木惇夫 | 山田耕筰 | 郭公が鳴くよ夜明けだ | コロムビア | いかにも「夜明け」を連想させる、若い躍動感あふれる佳曲。 |
00386 | 思い出の記 | 16 | 霧島昇 | 大木惇夫 | 古賀政男 | ああ馬の背に涙して | コロムビア | これも大木惇夫作詞。古賀政男の葬儀のさい何度も流れていた、故人の愛唱歌だった。 |
04156 | ジャングルと兵隊 | 17 | 大蔵俊彦 如月俊夫 |
矢島寵児 | 飯田景応 | 幼な心に描いた夢が赤道直下のやしの国 | ポリドール | 歌った二人も相当疲労していたよう。それがかえって兵隊の疲弊を連想させる。 |
02822 | 雪と兵隊 | 17 | 東海林太郎 | 藤田まさと | 大久保徳二郎 | 故国離れて弾雨のちまた | テイチク | 雪の中黙々と行軍する兵の姿が描かれています。藤田まさと作詞・大久保徳二郎作曲です。 |
00147 | 空の神兵 | 17 | 四家文子 鳴海信輔 |
梅木三郎 | 高木東六 | 藍より青き大空に大空に | ビクター | 最初徳山lが吹き込む予定だったが急逝したため鳴海に。高木東六作曲の上品な曲です。 |
00145 | 明日はお立ちか | 17 | 小唄勝太郎 | 佐伯孝夫 | 佐々木俊一 | 明日はお立ちかお名残惜しや | ビクター | 戦後戦時色を払拭して再発売されました。イントロは「トロイカ」からのいただき。 |
04103 | 点数の歌 | 17 | 林伊佐緒 三原純子 |
加藤芳雄 | 飯田三郎 | 32点の国民服に胸のハンケチ唯1点 | キング | この歌を聴くと当時の衣料切符制度での「点数」が解ります。その意味では“歴史的記録”なのかも。 |
00391 | 夕月乙女 | 17 | 李香蘭 | 西条八十 | 古賀政男 | 燈火やつれて春は逝く夜 | コロムビア | 八十−古賀コンビによる乙女純情もの。 |
00154 | マニラの街角で | 17 | 灰田勝彦 歌上艶子 |
佐伯孝夫 | 清水保雄 | いつか見た夢この夢嬉しい夢 | ビクター | 南方を舞台に軽快に青春を満喫・・・と言う感じです。 |
00392 | 高原の月 | 17 | 霧島昇 二葉あき子 |
西条八十 | 仁木他喜雄 | 真白に高き雪の峰 | コロムビア | 重厚な詞曲に格調高い歌唱を見せます。 |
04304 | 今年の燕 | 17 | 霧島昇 松原操 |
安藤一郎 | 弘田龍太郎 | 今年も村へやって来た燕に一寸訊きたいな | コロムビア | 「燕にチョット訊きたいな」・・のあたりに親近感を感じます。作曲者は「雀の学校」「靴が鳴る」など童謡で有名。 |
00149 | ジャワのマンゴ売り | 17 | 灰田勝彦 大谷冽子 |
門田ゆたか | 佐野雅美 | ラーララーラ火焔木の木陰に | ビクター | これは曲が先。いかにも南国の太陽を思わせる詞と曲。 |
02274 | 第五部隊 | 17 | 井田照夫 山中みゆき |
秩父重剛 | 東八郎 | 壁に耳あり障子に眼あり | タイヘイ | 国策歌謡として発売された、“防諜”ソング。作曲者はコメディアンじゃないですよ(多分) |
00152 | 婦系図の歌 | 17 | 藤原亮子 小畑実 |
佐伯孝夫 | 清水保雄 | 湯島通れば思い出す | ビクター | 泉鏡花原作の婦系図より。小畑にとってビクター移籍後初ヒットとなる。 |
07215 | イラワジ船唄 | 17 | 小畑実 | 東辰三 | 東辰三 | 月影今宵もさやかに照る | ビクター | イラワジとはビルマ(現:ミャンマー)を流れる大河。近辺の資源をめぐって激しい戦闘が有ったところでもある。 |
00150 | 新雪 | 17 | 灰田勝彦 | 佐伯孝夫 | 佐々木俊一 | 紫けむる新雪の | ビクター | 「オオ・ドンナ・クララ」を下敷きにしていますがこれを極限まで“盗作”にしないのが佐々木俊一のスゴいところです。 |
00399 | 南から南から | 17 | 三原純子 | 藤浦洸 | 加賀谷伸 | 南から南からとんで来た来た渡り鳥 | コロムビア | 三原純子の代表曲と言える。作曲者は吉田信のペンネーム。 |
00151 | 鈴懸の径 | 17 | 灰田勝彦 | 佐伯孝夫 | 灰田有紀彦 | 友と語らん鈴懸の径 | ビクター | あくまでもこの人の歌は「青春」です。この歌を聴いてそれを再認識しました。 |
00396 | 祖国の祈り | 17 | 伊藤久男 | 藤浦洸 | 古賀政男 | 神の使者は東の空に | コロムビア | 冒頭にアラーの神への祈り。伊藤のこの頃の声は輝いていますね。 |
07219 | 月の廃墟 | 17 | 灰田勝彦 | 東辰三 | 東辰三 | 人なき城よ誰ぞ住みし | ビクター | 「荒城の月」をイメージ。溶け込むような灰田の歌唱も心に沁みます。 |
03369 | どうじゃね元気かね | 17 | 楠木繁夫 | サトウハチロー | 古賀政男 | どうじゃね元気かね | コロムビア | 時の東條首相の口癖がタイトル。 |
歌詞(歌い出し)やタイトルに現時点において不適切な表現があるかも知れませんが、あくまでも流行歌“資料”として当時のまま掲載しております。